土間のある家の台所の床貼りです。
台所は、奥さんが一日の中で多くの時間を過ごす場所。しかも立ち仕事。堅い床材では膝や腰への負担が大きいし、冬場は足下から冷える。
土間のある家では、台所の床材に30mm厚の県産材遠山杉を使用しました。杉床は、確かに傷つきやすく、汚れも付きやすいかもしれません。しかし、それを超越した心地よさがあります。裸足で歩きたい・・そんな気持ちになります。見た目はわかりませんが、素足で歩くと板の厚み、柔らかさがしっかりと感じられます。長い時間過ごしていく内に実感できるはずです。
写真の床を張っている大工さんは、いつも頼りになる中澤建工の喜多さん。とても丁寧な仕事ぶりで、機転も利くSAN’AIにとっても欠かせない大工さんの一人です。その喜多さんに「合釘」について教えてもらいました。

合釘とは両側が釘になっているものです(※写真の釘)
この釘は、床材と敷居との取り合いや、見切り材など正面から釘穴を見せたくない場合に使います。完成すれば見えなくなってしまう部分ですが、永く美しい納まりを保つために色んな知恵と道具を駆使して現場を進めていきます。完成した時が一番綺麗ではなく、経年と共に家が美しくなっていくために、このような大工の技術は欠かせ
ないと改めて感じました。